家づくりの豆知識
現代の仏間
こんにちは、ほそ川建設の営業部・野上です。
秋の気配が少しずつ感じられるようになりましたね。
家の中に入る光の角度や風の通り方が変わるこの季節、住まいの“心地よさ”を改めて考えるお客様も多いように感じます。
今日は、そんな暮らしの中で静かに息づく「仏間」について少しお話ししたいと思います。
最近は仏壇を置く場所をどうするか迷われる方も増えましたが、実際にお話を伺うと、「やはり落ち着いて手を合わせる空間がほしい」とおっしゃる方が多いです。
“仏間”というのは決して特別なものではなく、家族の心をそっとつなぐ大切な“居場所”だと感じています。
暮らしに寄り添う“現代の仏間”

障子越しにやわらかな光が射しこむ午後。畳の香りがほのかに漂い、静けさの中に微かな温もりを感じる——。
かつて日本の家には、そんな時間が流れる「仏間」がありました。
床の間に掛けられた掛け軸、欄間を抜ける風、雪見障子の向こうに揺れる庭の光。
その佇まいには、家族の祈りとともに受け継がれてきた穏やかな気配が宿っていました。時代が移り変わり、住まいの形が変わっても、祈りの場は人の心の奥に残り続けています。
現代の仏間は、そんな静かな想いを今の暮らしの中にそっと息づかせる空間へと姿を変えています。
伝統的な仏間の魅力

床の間や雪見障子を備えた仏間は、光と影が溶け合う静寂の美しさに包まれています。
九谷焼の器や金沢仏壇の金箔がほのかに輝き、陰翳の中でひときわ存在感を放ちます。
畳の柔らかさと和紙の手触りが、四季の移ろいをそっと伝え、心に穏やかな安らぎをもたらしてくれます。
暮らしに寄り添う仏間レイアウト例
ダイニング横の和室

家族が集う食卓のそばに小さな和の空間があると、日々の暮らしにやさしい余白が生まれます。
小上がりにすれば腰をかけたり収納に使えたり、段差をなくせば子どもも安全に遊べる場に。
ふと手を休めて一息つくとき、心を整える“ひと間”としてそっと寄り添います。
リビング横の和室

リビングと一体に設けることで、光と風の流れが自然に続き、住まいに奥行きを感じさせます。
小上がりにすれば独立した落ち着きが生まれ、段差をなくせば家族の気配がより近くに。
どちらの形でも、「畳にごろっと寝転びたい」という家族の声に応える安らぎの場所となります。
来客時には布団を敷いて泊まっていただける客間にもなり、季節のしつらえを楽しむ舞台としても活躍します。
玄関直結の和室

玄関から直接案内できる和室は、法要や来客の多いご家庭にとても便利です。
リビングを通らずお客様を迎えられることで、静けさを保ちながら、丁寧なおもてなしができます。
仏間は、ただ古き良き名残ではなく、家族の思いをつなぐ“心の居場所”として、今の暮らしに静かに溶け込んでいます。
光と影が交わるその空間に、日々の祈りとやすらぎが共にある——。
金沢という街に流れる伝統の息づかいとともに、私たちはそんな家づくりを大切にしています。
追記:仏壇の魂抜き(閉眼供養)について

家に長く寄り添ってきた仏壇を手放すとき、そこにはひとつの節目があります。
「魂抜き(閉眼供養)」とは、仏壇に宿るとされるご本尊やご先祖さまの“魂”を、静かにお送りするための儀式です。
新しい仏壇を迎えるときも、お引越しなどで古い仏壇を閉じるときも、この祈りをもって感謝を伝えます。
ご住職にお経をあげていただき、仏壇の中に宿る心を空へと還す——。
その間、蝋燭の炎がゆらめき、読経の響きが家の奥までゆっくりと沁みわたります。
ご家族が手を合わせ、これまでの年月を思い返すひとときは、どこか懐かしく、そしてあたたかいものです。
儀式が終われば、仏壇は再び静かな家具へと戻ります。
粗大ごみとして出すこともできますが、多くのお寺や仏具店では、供養を終えた仏壇を丁寧に引き取ってくださいます。
お布施は二〜五万円ほどが目安。出張していただく場合は、交通費を添えるのが一般的です。
古い仏壇からは位牌や遺影、過去帳を取り出し、新しい仏壇に移します。大切なのは、形式よりも「ありがとう」という気持ちで見送ること。
それは、家族の時間を包んできた場所への、小さな感謝の祈りでもあります。
仏間も、仏壇も、家族の心を静かに結ぶ“よりどころ”。
暮らしの中で光と影を受けとめながら、祈りとぬくもりが共にある——。
そんな住まいづくりを、私たちはこれからも大切にしていきたいと思います。